記憶
    - 2010/07/03(Sat) -
    お茶を飲んで
    店を出ようとしていたら
    3人の家族連れが入ってきた。
    夫と妻と その息子。
    その女性には見覚えがあった。
    以前住んでいた学区の人で
    私の子どもの誰かの、同級生の母親か
    またはPTAの役員をしていた人だったと思う。
    目は合ったけど、挨拶をするほど親しい人でもなく、
    似ているだけの違う人のようにも思えたので、
    自然に視線が息子さんの方に移った。

    背が高くて、若々しくて爽やか。
    齢は私の息子と同じくらい?
    もしかして同級生?
    息子も生きていたら、こんな感じになったのかな?
    数秒の間私は、その子から目が離せなかった。

    やがて店員に案内されその3人が私の前を通る時
    その女性は片手を顔に添えて
    私の視線を遮断するかのように 通り過ぎた。
    そして私は、彼女のその仕草で、
    やっぱり知り合いだったことがわかったのだった。

    息子さんを見つめていた時の私の表情を
    彼女はどう見たのかわからないけれど、
    挨拶さえ必要ない程、ただ知っているだけの私を
    見たくない 見られたくないと思うくらいに
    彼女は私を・・事故のことを・・覚えていたということなんだろう。

    彼女の仕草に少し傷つき、
    少しほっとする。
    私も似たようなことをいつもしている。
    以前の知り合いに会った時には、
    顔を合わせないように進行方向を変えるし
    変えられない時には気付かない振り
    声をかけられなかったことに、ほっとする。
    その人が悪いわけではないけれど。

    そして私は、あることを思い出した。
    闘病中の友人を病院で見かけた時に、
    すぐ近くにいたのに、声をかけられなかったことを。
    その後に一度会った時にも
    なんとなく声をかけられなかった。
    その後会う機会がないまま、友人は亡くなり、
    声をかけなかったことを、とても後悔したことを。

    友人が亡くなって、もう20年近くになる。
    子どもを通じた付き合いで
    それ程親しく行き来はしていなかったけれど、
    話してみれば、いい人だなと誰でもわかる
    優しい彼女のことは、時々思い出していた。
    記憶の中で生き続ける彼女。

    息子もきっと 誰かの記憶の中で
    生き続けているに違いない。

    2010/07/03(土) 12:25:46
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