メッセージ
    - 2005/08/18(Thu) -
    どじがいなくなって初めての夏の、数年前の今日のことだった。

    朝4時前、どじの写真を見ている夢を見ていて、ふと目が覚めた。
    夏とはいえまだ暗い時間。
    悲しい夢でもなく泣いて目が覚めたわけでもない。

    突然に家族を亡くした人は眠れない夜を過ごす人が多いけれど、
    疲れ果てていた私は、体が弱いこともあり自然に睡眠を欲するのか、
    とにかくよく寝た。
    昼も夜も寝てばかり。
    夜も朝まで目覚めることは殆どなかった。

    だから、何故目が覚めたのだろうとぼんやりと考えていた時、
    外から声が聞こえた。

    「ほー、ほー」

    どじの声に似ている・・・いえ、似ているのではなく、どじの声だった。
    庭にいた犬も反応して、少し唸った。
    でも外を見てもきっと誰もいないだろうと思い、じっとしていた。
       
    「ほー、ほー」
    どじはよく空や自然に向かって、この言葉を出していた。


    亡くなる前年は宮沢賢治生誕100年の年で、
    書店には宮沢賢治の本が何種類も並べられており、
    そのなかの一つの、宮沢賢治の伝記を買ってやった。
    漫画だけれどきれいな絵があり、心に残る本だった。

    そのなかに、子どもの頃や、学生時代、大人になったそれぞれの賢治が、
    自然のなかで、「ほー、ほー」 と声を出すシーンが何度が登場し、
    それを真似したのか、いつしかどじも、 
    「ほー、ほー」 と、楽しそうに声を出すようになっていたのだった。

    夜から朝に向かう静かな暗闇のなかでその声を聞いたとき、
    瞬間的に理解した。

    どじは何も苦しんではいない。
    どじのいのちはよろこびの中にある。

    それまでは突然に命を奪われたどじが不憫でならなかった。
    自分も苦しくて悲しくて涙を流さない日はなかった。
    私があまりにも嘆き悲しんでいるので、
    「僕は大丈夫だよ」 
    というメッセージを送ってくれたのかもしれない。

    自分が幸福を感じていたときに出していた、「ほー、ほー」 という言葉。
    私が安心するのに最適な言葉だったよ。

    2005/08/18(木) 06:21:01
    この記事のURL | どじの話と 不思議な話 | CM(0) | ▲ top
    <<空が鳴る | メイン | 戦後60年の1日が終わった >>
    コメント

    コメントの投稿















    管理者にだけ表示を許可する


    ▲ top
    | メイン |