眠れない夜
    - 2015/05/28(Thu) -
    最近夜眠れない夜が多くてね。

    そういう時には、無理に眠ろうとせず
    本を読む。

    そのうち眠たくなればいいけどそうもいかない時には
    お酒を飲んで、眠れる時を待つ。


    今夜も眠れなくてね。

    眠たくて床についたけど
    なかなか眠れなくてね。

    うとうとしているうちに午前2時を過ぎた。

    このまま悶々と横になっているのはもったいないと
    今夜も起きだして、暗闇の中冷蔵庫の冷えているビールに手を出す。
    その間に床に置いてあったモノを蹴飛ばして
    騒がしい音をたてたりして。

    まあそんな感じで、
    ちっこいベランダに腰掛けて
    ビールを飲んでいたわけです。

    飲んでいるうちに新聞屋さんのバイクの光が
    闇を照らす時間になった。

    そして あることを思いだしました。

    前の前は 前の家と同じ街の別の場所に住んでいた。
    商店街が近くて、お豆腐屋さんもすぐ近くにある場所だった。
    家の前の道路は幅3メートルにも満たない
    舗装もされていない路地で、
    向かいには昔ながらの長屋が数件、連なっていた。

    その頃にも 猫を飼っていたのです。
    アメリカンショートヘアが交じった可愛い猫で
    名前は いしまつ。
    洗面所の窓から
    出入り自由の雄猫。

    その猫はいつも 家の前の道路の真ん中で
    昼寝をするのが日課だった。

    人は通り道にしているけど
    車は住人以外には通らない 静かな道。

    いっつもその道路の真ん中で 
    どっでーん と堂々と眠っていた。

    ある日いつものように猫が寝ている時に、家の前で
    夕刊を配達中の新聞屋のおじさんと遭遇。
    出会えばいつも何か話をするおじさん。

    その方、猫を見て

    「死んでるんかと思った。寝てるんかぁ!」

    と 笑ってた。


    そしてしばらくした ある日
    新聞に交通事故の記事が載った。

    「男性が朝刊配達中に飲酒運転の車にはねられる」

    その方だった。

    驚いたけれど
    その時にはそれ程心配はしていなかった。

    重傷か 重体 だったのかよく覚えていない。
    もしかしたら重体の意味がよくわかっていなかったのかもしれない。
    いつか元気になって戻ってこられると思っていた。

    そして1、2ヵ月過ぎた頃だろうか。

    夕刊を配達に来られた別の人に
    あの方、回復されましたか?
    と聞いたら、

    「事故の数日後に亡くなられました」

    という返事がかえってきて 言葉を失った。
    猫を見て笑ったその方の笑顔が浮かんだ。

    胸が痛んだ。
    なんて寂しいんだろう お気の毒に・・と。

    あの頃は 交通事故は自分とは無関係だと思っていた。
    数年後に、自分が被害者側の立場になるとは
    想像することもなかった。

    もっと 事故のことを深く考えていれば・・
    あのまま引っ越さずにあの場所に住み続けていれば・・
    どじは 事故で命を奪われることもなかったのかもしれない。

    思えば後悔ばかり。
    ああすれば良かった
    こうすれば良かったと
    後悔ばかり。

    そんなことを考えているうち
    だんだん夜が明けてきた。

    薄明るくなった空を見ながら
    もう後悔はしたくないと思う。

    この先 どんなことでも
    後悔せずに生きていくことは できるのだろうか?
    いつまで経っても未熟な自分。
    そうはいかないかもしれない。

    それでも少しでも後悔せずに
    生きていけたらと 
    小さな決心をして 残っていたビールを飲み干した。

    想いが巡る眠れない夜。
    だけど眠れない夜も
    時にはあった方が いいのかもしれない。
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