観音立像
    - 2010/12/22(Wed) -
    京都の三十三間堂の千体の観音立像の中には
    亡くなった人と同じ顔が必ずあるという。
    聞いたのは2003年のメッセージ展の時だった。

    京都は馴染みのある町でもある。
    私の母親は京都の碁盤の目の中で生まれ育ったので
    市内には親戚も多く、お墓もある。
    お墓があるお寺は町中だったり有名なお寺だったり。
    京都は、子どもの頃から何度も行った町。

    でも私が生まれたのは山を越えた京都の隣の市で
    若い頃数年離れていたとはいえ、
    どっぷりとこの土地に浸かる感じで生きてきた。
    だから京都に馴染みがあっても、
    ろくに京都を知らないのだった。
    いつでも行けると思うと行かないもので、
    他府県の人の方が京都通だったりする。
    あの有名な五山送り火を初めて見たのも2年前だし、
    祇園祭の山鉾巡行は、未だに見たことがない。

    観音立像の話を聞いてから早や7年。
    三十三間堂の近くは何度も通っていても
    寄ることは今まで一度もなかった。
    いつか行こうと思いながら、
    ずっとその日を取っておく、という感じで。

    でも先日京都へ行った帰り、時間があったので
    思い切って寄ってみることにした。
    行ったのはもう夕方の時間で
    堂内は薄暗く、
    後ろの方の観音様のお顔は見えない。
    それでも、一体ずつ
    確かめるように見ていった。
    似ているのもあるけど 少し違うようにも見える。
    行ったり 戻ったり。

    程なく、息子に似た顔を見つけた。
    位置を変えながら何度も何度も確かめる。
    ああ似ている。
    よく似ている。
    息子がそこに立っている。

    ああ 会いたいな・・・・

    涙が溢れてくるけれど
    泣くのはぐっと 我慢した。
    何故泣けないのだろう 
    何故いつも我慢するのだろうと思いながら。

    先に進んで
    また戻って確かめる。
    あれかな あれだったかな。
    戻ったら はっきりわからなくなってしまった。

    でもいい。
    次は、明るい午前中に会いに来よう。
    また別の 
    似ているお顔に会えるかもしれない。


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