馬糞風
    - 2006/03/24(Fri) -
    各地で桜の開花が始まりましたね。
    春・・待ち遠しかった春。
    ある歌を思い出しました。

     北に住む人は しあわせ
     春を迎える よろこびを
     誰より強く 感じることが できるから


    しばらくの間、北へ行っていました。
    そこは風の強い、寒い土地です。
    ちょうど今頃は、馬糞風が吹く季節。

    昔は、馬は農作業や移動に欠かせない動物でした。
    冬には馬そりが大活躍。
    暖かくなれば、雪が溶けてあちこちに落ちている馬糞が現れ乾燥し、
    春先の強い風に舞う・・・。
    それを馬糞風と呼ぶのです。

    お彼岸の頃には、さすがの北の国でも雪はほとんど溶けるのですが、
    今年はなんと、雪が降りました。
    出発の空港では、「着陸できるかどうかわからない」 と言われ、
    予定通り予定場所に着陸できたものの雪が降り、
    車で走れば地吹雪で、どこが道だかわからない。
    対向車も近づいてからやっと気が付くほど。
    寒さ厳しい土地なのです。
    でも、人は温かい。

    今回はある人の法事で訪れたのでした。
    2年前に80歳を過ぎて亡くなった彼は、私に若い頃の話をよくしてくれました。

    戦争の時には「飛行機乗り」だったこと。
    天皇陛下のために立派に死ぬことが望みだったこと。
    でも出撃の前に必ずアクシデントがあり、何度も乗り損ねたこと。
    そのうちに戦争が終わってしまったこと。

    「天皇陛下のお役に立ちたくて努力してきたのに、全てが無になったんさ。
     なーんにもする気がなくなった。希望を失った人間さー」

    そこで彼は実家に戻り、農業をすることになりました。
    明治の頃に開拓民としてやってきた家族。
    苦労して広げてきた田畑があります。
    昔のことだから兄弟がたくさんおり、
    父親が亡くなった後、彼は、
    弟や妹たちを進学させるために、一生懸命働きました。
    学費を払うために借金をして、借金返済のために田畑を売る。
    弟や妹たちは進学し、それぞれが立派になりましたが、
    その頃にはもう、彼には、
    自分の息子を進学させる余裕は、全くありませんでした。
    秀才だった息子は進学できないことが悔しくて、ある日母親に言いました。
    「おじさんたちはお父さんのお陰で進学できて、今裕福になっているのだから、
     僕の進学のお金を出してくれたっていいじゃないか」

    でも母親は、
    「そんなこと言うもんではないよー」 と、
    静かに諭したそうです。

    そんな人たちなのです。


    さて、
    雪は3日間降り、ようやくお天気が回復したころに戻ってきましたが
    その間に東京では桜が開花のニュース。
    北の方でも、雪が溶けてきたようです。
    あちこちで春の始まりですね。


    2006/03/24(金) 14:48:07
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